TSUNAGU Story CASE #00
生家を未来につなぐという選択

- 場所
- 久万高原町久万
- 築年数
- 築60年(当時)
- 構造
- 木造
- 規模
- 地上2階
- 面積
- 建物 41.07坪/土地 68.22坪
- 用途
- 住居
久万高原町中心部に建つ築60年の家。家族のライフステージの変化に伴い空き家となっていたEさまの生家が、上浮穴ホームとの出会いによって新しい暮らしへとつながった事例をご紹介します。(2025年7月インタビュー)
– 愛媛県松山市 Eさま(60代)–
—— 今回の物件は、Eさまがかつて暮らしていたお家と伺いました。
はい。愛媛県久万高原町の中心部にある家で、私が生まれ育った場所です。 家族が住まなくなってからは空き家になり、父が亡くなってからも登記の変更をせずそのままになっていました。
ご縁があって「住みたい」と言ってくださる方に賃料は頂かずにお貸ししたこともありました。誰かが住んでいてくれる間は家に風も通り、私も管理に通わずに済んで助かりました。
でも、そういう方がいない期間は再び空き家になり、松山市内の自宅から1時間以上かけて時々訪れ、窓を開けて風を通したり、雑草を刈ったりする必要がありました。やはり離れているので管理は負担でした。
誰も住まなくなると、家の痛みが一段と進んでしまうことも悩みでした。

お話を聞かせてくださったEさん


住み慣れたころの面影が残るリフォーム前の生家
—— 生家の今後について、考えるようになったきっかけは何だったのでしょう?
4年前に仕事を辞めて、以前より少し時間の余裕ができました。これまで後回しにしてきた生家のことを、ようやく考えられるようになったんです。
最初は、水回りをリフォームして別宅や別荘のような形で使えないかと思いました。 当時はちょうどコロナ禍で、もし家族が感染したときの避難先としても使えるかな、と考えていました。でも見積もりを取ってみると、想像以上の費用がかかることがわかり、「そこまでのコストをかけるのは難しい」と思い直しました。
—— リフォームを諦めると、管理が続くことになりますね。
そうなんです。スズメバチが巣を作ったり、雑草が伸び放題になってご近所に迷惑をかけるのも心配でした。このまま持ち続けるより、いっそ手放すほうが良いのではと考えるようになったんです。
ただ、簡単には決められませんでした。 松山の感覚では、古家を壊して更地にしたほうが売れやすいと思っていましたが、久万高原町のような田舎では事情が違うようで…。 実際、近所で更地にして売りに出された土地が何年も買い手がつかないのを見て、迷いました。

雑草の処理もかなりの負担だった

—— そんな中で、上浮穴ホームと出会われたのですね。
はい。リフォームの相談をしていた建設会社の方が「こんな会社もありますよ」と紹介してくださったのが上浮穴ホームでした。
相談してみると、「建物を壊さずにそのまま譲ってくれませんか」と提案がありました。しかも仲介ではなく、会社が直接買い取ってリフォーム後に賃貸として活用するというお話で、とても新鮮に感じました。
私としては、不動産を手放すことによって利益を得たいという考えはあまり無く、「負の財産になる前に、金銭的な負担なく未来へつなぐ形で整理できる」ことに大きな価値を感じていました。
社長のお父さまが旧美川村の出身で、同じ上浮穴郡というご縁があったことも親しみを感じましたし、「地域活性化に貢献したい」という社長の想いも良いなと感じました。
—— 決断するまでに、ご家族との話し合いはいかがでしたか?
母と姉に相談しました。最初はやはり「思い出の詰まった家を手放すなんて寂しい」と言われました。
でも管理はほぼ私がしていましたし、この先のことを考えると、誰かに使ってもらうほうがいいと言う相談を重ねました。最終的には2人も理解を示してくれ、前に進めていけるようになりました。

痛んでいた外壁は再塗装を施し見違えるように

お風呂やキッチンは最新の設備へ
—— その後、生家はリフォームされ賃貸として生まれ変わりましたね。
はい。外壁も塗り替えられて見違えるほどきれいになり、誰かに使ってもらえているのがとても嬉しいです。
お墓参りで生家の前を通るたびに、玄関先にベビーカーが置かれていたりすると、「ああ、いまこの家で新しい暮らしが始まっているんだな」と温かい気持ちになります。
ご近所の方からも「夜に灯りがついて人が住んでいるのを見るのが嬉しい」と喜んでいただけて、本当に良かったなと思います。—— いま、どんなお気持ちですか?
長年抱えていた宿題が終わったような、すっきりとした気持ちです。
親が元気なうちに家族で話し合うのは勇気がいりますが、意見を聞けるうちに相談できて良かったです。同じような悩みを持たれている方も、一度家族に相談してみると良いと思います。結論がすぐ出なかったとしても、家族それぞれの想いを共有するだけで、きっと次のタイミングが見えてくると思います。


ここで、また新しい家族が暮らしていく
私たちは「地域を守り、暮らしの灯りを絶やさない」思いを大切に、建物をできる限り活かす方向で取り組んでいます。 もちろん、すべてがうまくいくわけではありませんが、今回のケースでは間取りや広さ、立地を考慮し、自社の賃貸物件として新たな命を吹き込むことができました。
空き家の管理や処分でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。地域と共に歩みながら、誠実にサポートさせていただきます。